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【Gサポート日記】働き方改革の議論が挙がるたびに思い出す経営者 その3

 生産性を高める努力は政府からの要請があって行なうものでもなく、本来、経営者が創造的に追求すべきことである。その上で、人間にとって労働がどのような意味を持つのかを考える、というのが幸之助の視点。幸之助の随筆に、「働き方のくふう」という一篇がある。生産性の向上という点で、それは経営者だけの問題ではなく、労働者自身の問題なのだと。

 「額に汗して働く姿は尊い。だがいつまでも額に汗して働くのは知恵のない話である。それは東海道を、汽車にも乗らず、やはり昔と同じようにテクテク歩いている姿に等しい。東海道五十三次も徒歩から駕籠へ、駕籠から汽車へ、そして汽車から飛行機へと、日を追って進みつつある。それは、日とともに、人の額の汗が少なくなる姿である。そしてそこに、人間生活の進歩の跡が見られるのではあるまいか」

 「人より一時間、よけいに働くことは尊い。努力である。勤勉である。だが、今までよりも一時間少なく働いて、今まで以上の成果をあげることも、また尊い。そこに人間の働き方の進歩があるのではなかろうか。それは創意がなくてはできない。くふうがなくてはできない。働くことは尊いが、その働きにくふうがほしいのである。創意がほしいのである」

                   (『道をひらく』1968年 PHP研究所刊)

(村田 有久)

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