【Gサポート日記】中小企業のロボット導入~メリットと課題
わが国では既に人口減少社会に入っており、人手不足を訴える企業は今後増えていくことが予想されます。人手不足に対し、海外人材の活用や働き手の多様化のための諸制度が整いつつありますが、もう一つの選択肢は「ロボットの活用」です。
ロボットの活用は、これまで自動車メーカー、家電メーカーなどの大手製造業者で進んでおり、中小企業ではなかなか普及していません。そこで、中小企業においてロボットを導入するメリットと課題について考えてみました。
1.ロボット導入のメリット
(1)作業範囲の広さ
ロボットとは、次の4つの機能を持つと定義されます。
①センサー(知覚する)、②知能(考える)、③駆動(動く)、④制御(コントロール)
これらの機能を使って、再プログラミングにより様々な作業を行うことができます。
(2)自動化による生産性向上
単純繰り返し作業を人が行うと、ヒューマンエラーや作業時間のバラツキが生じます。このような作業をロボットに任せ、人の力を高度な判断が必要な作業に集中することで、生産性を大きく向上させることができます。
(3)労働安全衛生への貢献
危険な作業、有害な環境下での作業をロボットに任せることで、社員の労働安全衛生レベルは確実に向上します。
(4)副次的なメリット
営業時や人材募集時の話題としてインパクトを与えることができる面もあります。
2.ロボット導入における課題
(1)アイデアの必要性
これまで限定的な規模・業種で活用されてきたこともあり、ロボット活用の可能性については多くの事例がありません。ロボットが得意な作業、不得手な作業を踏まえ、自社のどの作業をロボットに任せるのかについてのアイデアが必要となります。
(2)作業全体の生産性を考慮する必要性
同じ作業のみを自動化するのであれば、特定の作業を行う専用機の方が速く大量にできます。ロボットの作業により滞留が起こっては全体の生産性が低下します。作業全体の流れを考慮して導入することが重要です。
(3)作業環境を考慮する必要性
ロボットは作業対象を知覚するためにカメラで撮影し画像処理します。部屋の明るさなどの作業環境により、正常に動かないなどの不具合が生じることとなります。
また、作業対象物がプログラムからずれていたりすると停止することもあり、作業の前提条件を確実に整備しておく必要があります。
さて、中小企業がロボットを導入する場合の気になるコストですが、大きく幅があるものの概ね500万円~3,000万円程度の範囲であり、おおよそ1~3年で回収できる場合が多いようです。(一般社団法人日本ロボット工業会調べ)。
わが国では、ロボット導入に関わる支援者(ロボットメーカーや商社)を支援する動きもあり、注目していきたいと思います。
(添嶋真人)
