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補正予算は“追い風”か“罠”か──中小企業の設備投資をどう考えるべきか

  • soejima87
  • 22 時間前
  • 読了時間: 3分

政府の補正予算が決定されるたびに、「今回はどんな補助金が使えるのか」と注目が集まります。特に近年は、中小企業向けの設備投資・省力化・デジタル化を後押しする施策が数多く盛り込まれ、経営者にとっては一見すると大きな“追い風”に映るかもしれません。

しかし一方で、補正予算をきっかけに行った投資が、必ずしも成果につながらないケースも少なくありません。補正予算は果たして「追い風」なのか、それとも判断を誤れば「罠」になり得るのか。今回は、中小企業経営者が設備投資を考える際の視点を整理します。

 

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補正予算が示すメッセージとは何か

今回の補正予算を含め、近年の中小企業支援策に共通しているのは、人手不足を前提とした経営構造の転換を促している点です。単なる景気対策ではなく、設備投資やシステム投資によって生産性を高め、限られた人員でも事業を継続・成長させることが強く意識されています。

これは、「努力して人を集める経営」から「仕組みで回る経営」へと舵を切るべきだ、という国からのメッセージとも読み取れます。

 

“補助金があるから投資する”という落とし穴

補正予算が“罠”になる典型的なケースは、**「使える補助金があるから投資する」**という発想から始まる場合です。

この考え方では、

  • 何の業務を改善したいのか

  • 投資後にどんな効果を期待するのか

  • 現場の運用は変えられるのか

といった本来検討すべき点が後回しになりがちです。

結果として、設備やシステムは導入したものの、現場に定着せず、「補助金がなければ割に合わなかった投資」になってしまうことも珍しくありません。

 

成果につながる企業は何を先に考えているか

一方、補正予算を“追い風”にできている中小企業には、共通点があります。それは、投資ありきではなく、経営課題ありきで考えているという点です。

例えば、

  • 製造業であれば


    「どの工程がボトルネックになっているのか」

  • 建設業であれば


    「現場以外で時間を取られている業務は何か」

  • 卸小売業・サービス業であれば


    「人がやらなくてもよい作業はどこか」

こうした問いを明確にしたうえで、その解決手段の一つとして設備投資やシステム投資を位置づけています。

補助金は、その判断を後押しする結果として活用されるものに過ぎません。

 

設備投資は“コスト削減”ではなく“経営戦略”

設備投資や省力化投資というと、「人件費削減」を目的に語られることがあります。しかし実際には、成果を上げている企業ほど、投資を将来の成長や事業継続のための経営戦略として捉えています。

人手不足が常態化する中で、「今のやり方を前提にした経営」を続けること自体が、リスクになりつつあります。補正予算は、その現実に向き合うための“判断材料”を提供していると見るべきでしょう。

 

補正予算を“追い風”に変えるために

補正予算は、使い方次第で確かに追い風になります。一方で、経営の軸が定まらないまま乗ってしまうと、投資判断を誤らせる要因にもなります。

重要なのは、

  • 自社の経営課題を整理すること

  • 投資の目的と効果を言語化すること

  • 導入後の運用まで含めて考えること

その上で補助金を活用できれば、補正予算は単なる一時的支援ではなく、中小企業の成長を後押しする力になります。

補助金や制度はゴールではありません。経営者の意思決定を支える「道具」として、冷静に使いこなすことが、今まさに求められています。

 

 
 
 

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