社員研修を行う前に、教育計画を練られていますか?
社員をいかに教育していくかその責任者に立つものは研修を企画する過程で、教育計画を十分に練ることが求められます。
この教育計画がないまま受講生にやみくもに研修を受講させても、業務に負担を与えるばかりかやる気まで失わせてしまいます。従って教育計画には「何のために」「誰に」「いつ」「何を教育するのか」といった5W1Hを明確にしておく必要があります。中でも重要な要素は「何のために」教育するかを明確にしておくことです。そのためには、教育ニーズを正確に把握することが重要です。では、教育ニーズはどのように把握すればよいのでしょうか?
教育ニーズとは「あるべき能力」と「現実との能力」のギャップを指します。こうしたギャップの把握は、次の2つの視点から行うとよいでしょう。
1点目に「経営の視点」からニーズを把握することです。これはトップの打ち出す経営戦略がニーズの源になります。経営環境が絶えず変化している現状では、顧客のニーズの変化、競合他社の戦略の変化などにより発生したニーズをいかに迅速に教育カリキュラムに反映させるかが重要です。経営戦略は外部環境や内部環境によって変化していくものですが、その変化のために「今までと違う」行動を起こす場合は、社員にも「今までと違う」能力が期待されます。例えば新たな専門スキルやモラルの状態、マネジメントスキルなどが求められることとなります。このような新たに必要な能力を、既存社員のコンピテンシーをベンチマークする、他社の成功事例をベンチマークする、或いはそれまでの経験値から予測することによって定義する必要があります。
2点目に「キャリア開発の視点」です。キャリア開発の視点では、社員個人の能力開発に目を向け生涯教育の面から取り組むことが重要です。短期的には、社員個人に対して描くキャリアパス(キャリアの道すじ)に対して課題となっている能力を、人事評価や面談時等に把握しておくことで、その能力を補完するための教育を計画することができます。また長期的には、社員の価値観に合致する職務能力を伸ばすことで、より大きな貢献を促すことができます。そのためには日頃から社員とのコミュニケーションを十分に持ち、社員の仕事に対する価値観を把握し、仕事に対する社員の満足状況を把握しておく必要があります。
これら、2つの視点から社内で必要な教育を検討し教育計画を作ることが重要です。